要約
・初の2.5次元
・リィがリィだった!リィだったよすごいよ!!!!
・ウォルもちゃんとウォルだったよ!
・開幕前から涙してたわたし気持ち悪い
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第一報を聞いてリアルに「ガタッ」となった『デルフィニア戦記』舞台化。
普段は実写化・舞台化には否定的なほうなんだけど、これは「キタ━━━━━━(゜∀゜)━━━━━━ !!!!!」と思った(古い)。
何故なら
・C・ノベルス
・全18巻
・完結済
・著者の新刊はリーダーストアだと発売週1位
・「お勧めファンタジー・戦記系小説」では頻出
と、それなりにメジャーになってもいいはずなのに、完結後10年以上が経過した近年ようやくコンサートやCDドラマ化がされるようになった程度で、全然日の目を見ていないから。
(個人的には、コバルト時代の須賀しのぶ、小川一水「復活の地」、沢村凛「黄金の王 白銀の王」も、もっと評価されていいと思ってるけど 、デルフィニアはその3作よりずっと有名で売れてる…はず)
失うものなんてない!!とまでは言わないけど、とにかく嬉しい気持ちのほうが勝ってた。
もちろんすぐに「いや、でもリィどうするんだよリィ!!!」と思ったものの 、舞台好き・アクションクラブ好きの方から「リィ役はアクション出来る人だよ」と教えてもらって、ひと安心。
ペールゼンは山本亨さんだし、うんうん、ということで事前にチケットを購入。
(とはいえ、ちょっと不安だったのもあって、クオリティの安定しそうな/買い増したくても増やしにくい/歌舞伎公演も終わってる前楽にした)
途中、デルフィニアカフェの運営がバタバタで不安になったり
制作発表を兼ねたデルフィニア音楽祭の蕨野さんビジュアルと、佃井さんがデル戦既読情報に安堵したり
やっと出たビジュアルが、悪くはないけど良くもなかったり…ということもありつつ観劇当日を迎えました。
で、初めての2.5次元(銀英伝舞台を映画館で観たことならある)。
初めての天王洲銀河劇場。
うわーーー2.5次元っぽい!!
などと思いつつ、コートをロッカーに入れて(無料なの良心的。歌舞伎座もそうして!!!)、着席して…
パンフめくりながら涙ぐんでた残念なアラフォーおたくが私です(´・ω・`)
タイトルが出るとこで泣くのは阿弖流為で経験済みだけど、開幕前からって我ながらどうなの…。
そんな状態なので、実際問題、この舞台に関して私は冷静な評価はできないと思う(普段もできてないけど)。
とくにウォルとリィの出番が多い第一幕なんて、ほぼ泣いてた。
リィ役の佃井さんが、本当にリィだった。
細身で小さくて、殺陣でも前転くるくるしてるし、身長くらいの高さからひょいっと飛び降りるし。
ちょっと階段に座ったり胡坐をかくときの雑な感じが、沖さんの挿絵で見たことあるような気がしたくらいリィだった。
ウォルの蕨野さんが体格がいいので、並ぶと本当に1巻の表紙そのままだよ!!
背中合わせ殺陣ありがとうありがとう!!!!!!
もちろん異論は認めるけど、リィとウォルを舞台で演じるキャスティングとしては、かなり上出来だったと思う。
内容はかなり端折られたダイジェスト状態なので、原作未読の人は分かりにくそう。
デルフィニア戦記の1-4巻は茅田砂胡作品の中でもかなりクオリティの高い部分なので、それを2時間にぶった切って、最初にぽんと出してしまうのはもったいない…と惜しい気持ちもかなりある。
グライアの話や、ダール卿の策謀、シャーミアンの脱出エピソードは完全にカット。
タウの説明もかなりカット(というか、あのタウの旗の映像はないよぉぉ) 。
「北の塔」というワードも確か出てこなくて、ルカナン隊長やユベールの名前も出てこない。
端折られた各部分の地の文すら脳裏に浮かぶというのに。
もちろん舞台という媒体に向いていなくて削られた部分(ユベールの名前なんて出て来ても面倒なだけだ)もあるだろうし、最初から良いカードを切って勝負に出ないと、次の試合に出られないかもしれない。
それと同時に、最初から(ちょっと雑に)良いカードを切ってしまうと、次の試合で出すカードがなくなってしまうのでは?というジレンマを感じた。
特に残念だったのは、「黙って殺されたりするな」のくだりが聞けなかったことと、
ジルが協力を申し出た際のウォルの答えが、タウの旗を掲げることだけだったこと。
そこでキャラが語られてるのに、ああ勿体ない。
うん、でも面白かった。
あと、やっぱり宣伝ビジュアルは詐欺レベルで盛るべき。
新感線のごとく「話まで違う…」by光浦靖子ってレベルで盛るべき(「はくがぁる」新感線特集の光浦さん、完全に私たちすぎた!w)。
何故なら、写真やゲネプロ動画では、実際に舞台で観た時の迫力は伝わらないから。
減衰する空気感を補うべく、盛るべし!盛るべし!盛るべし!!
ビジュアルが残念だと、ひとにも勧めにくいじゃん…。
◆ウォル/蕨野友也
3巻の表紙と完全に一致、と言いたくなるウォル役・蕨野さん。
11月のデルフィニア音楽祭で、かなりウォルに寄せたスタイリングで、お話してる感じからも好印象だったので、わりと安心して見てた。
マネージャー「蕨野さんはウォルに似ていると思うんですよ」
蕨野さん「田舎出身だから?」
みたいな会話があったらしい。
私の中のウォルは、そこまで感情の起伏を行動に出さないイメージだけど、これでほぼ初舞台?えー、めっちゃうまいじゃん、という感想。
演じ方に変な癖がなくて好き。
◆リィ/佃井皆美
最初はリィに対してもっと少年っぽいイメージがあったんだけど、佃井さんのビジュアルを見て「そういえば女の子だもんな、デル戦世界だとこんな感じだよな」と思い直した。
リィをやってくれてありがとう、と言いたくなるクオリティだった。
(佃井さん、媒体に出てるビジュアルが微妙すぎて…ご本人もっと可愛いから…)
◆ペールゼン/山本亨
ご本人がパンフで「正義の物語が栄えるには、悪役が悪役らしく輝いていることが必要」と仰ってるように、ペールゼンが出てくると舞台の空気が引き締まってかっこよかった。安定感凄い。声も素敵。
次があったら、ファロット伯爵もゾラタス王もやってほしい。
個人的にはジルもアリだと思うんだけど。ロマンスグレー山賊。
◆イヴン/山口大地
動ける人だなあと思ってたら、30-DELUXの舞台にも出てる人だった。
私の頭の中のイヴンは背が高いので、そこだけちょっと惜しかったけど、イヴン感あってすき。
デル戦舞台はちょくちょく挿絵を再現してくれてたんだけど、ウォルとイヴンの再会シーンもその一つ。
アンサンブルの方々はパンフには11人載ってたけど、カテコではもう少し少なかったような?
少人数であの立ち回りは大変だったろうなー!
ナシアスとバルロは、アニメ声ならぬイケメン喋り?変な溜めと息の伸ばし方が、私は苦手だなーと思いながら観てた。
カテコは細貝さんが一言…でガレンスとワイワイやってた。
微笑ましかったし、自分がファンだったらこういうの絶対楽しいんだけど(音楽祭でもそうだったけど、細貝さんのトークは安心して聞いてられる)、無言のカテコだけで余韻に浸ったまま帰りたかった気もする。
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舞台「デルフィニア戦記」第一章
2017/1/20(金)〜2017/1/29(日)
天王洲銀河劇場
<出演>
蕨野友也 佃井皆美 細貝 圭
山口大地 林 剛史/須藤公一 綾那 三田村賢二 大原康裕
大沢逸美 小林勝也 山本 亨 他
<スタッフ>
原作:茅田砂胡(C★NOVELS/中公文庫)
脚本・演出:児玉明子
音楽:砂守岳央(未来古代楽団)
企画・製作:舞台「デルフィニア戦記」製作委員会
企画協力:茅田砂胡プロジェクト