カンパニーデラシネラ『点と線』神奈川県立青少年センター

7/28マチネ観劇。
推理物の顔をしつつ、役者さんの身体性と、安田妻の随想の美しさを味わうお芝居だった。
なるほど、あの随想を中心に置くなら、総勢38人という大所帯は必要だったろうなあと納得。
(そのぶんお稽古に相当な時間がかかってるだろうし、3公演しかないのもったいないね)
推理ものとしての風呂敷は畳まれないけど、安田妻が病床から見たであろう群像劇が綺麗に立ち上がってくる終幕だった。

パンフレット記載のあらすじ

東京駅十三番ホームに、安田辰郎と女二人が立っている。三人は向かいの十五番ホームから、お時と佐山憲一が特急《あさかぜ》に乗り、旅立つところを目撃する。数日後、お時と佐山憲一は心中死体となって、九州香椎の浜で見つかった。博多署の鳥飼刑事は、この心中に疑念をいだく。
佐山憲一は、現在世間を騒がしている不正事件の重要参考人だった。警視庁捜査二課の三原刑事は佐山を追う中で、この心中事件にまつわるたくさんの偶然に気づいていく。不自然な完璧がそこにはあった。

を読んで、「で、安田辰郎って何者なのか説明がないんだが…」と思ったら、そここそが核心だったのね。
演出の小野寺さんが

今回初めてデラシネラをご観劇いただく方も多いと思いますが、序盤からフルスロットルで飛ばしていきますので(スピードではなく、どんどん見立てが始まっていくという意味で)こちらご一読いただいておくと、一助になるかと!

とツイートしてくれてるのはとても親切。
読んでおいてよかった。

原作未読なので、この物語が推理物としてどう終わったのかは気になるものの(舞台版と違って、推理物として終わったんだよね!?)、例えば「安田(あるいはその妻)vs三原」や「三原vs警察上層部」を中心に据えた演出なんかも出来そうな中で、安田妻の「時刻表を読んで、『同じ時刻に日本各地に到着する列車から降り立つ人々』に思いをはせる」を中心に組み立てたのは面白いなあと。
そもそも時刻表トリックって舞台だと分かりにくいし…。
「13番線から15番線に停車中の”あさかぜ”を見ることはできるか」を円グラフで示したように、地理と時刻をビジュアルでも把握しつつあれこれ考える時間が欲しくなっちゃう笑。

ともかく、「成河さんが出るなら観に行くかー」で面白いものを見た日だった。

◆どうでもいい雑感
・「地方の公共ホールで観られる演劇っぽさ」みたいなものがあった(内容的にも、客層的にも)
・出演者の身内・知り合いが結構来てるのかなあとか(土曜夜、日曜昼夜で日曜昼が一番売れてたっぽい?)
・知り合い同士でのグループ観劇や、観劇慣れしてなさそうな人が結構いたように思えたけど、客席めっちゃ静か。
・つまり歌舞伎座や博多座はどんだけうるさいのよ…(前後左右5席以内に私語する客が絶対にいる)
・それでもアラームは鳴る
・隣の人が半分以上寝てた。でも舞台が暗転したとたんに爆速拍手してた。なんなんだ…。
・序盤に出てきた方の滑舌が悪くて「これで推理物を…?」と不安に襲われた(杞憂)。
・マイムで、被害者と加害者、問うもの問われる者を演じる役者が入れ替わるの面白い。入れ替わりと繰り返しが多い演出。
・面白い…んだけど、入れ替わって病床の安田妻になる場面で成河さんが「お前が犯人だ(棒)」と言ったのでちょっとウケたw

◆紅葉坂ホールについて
「客席への飲み物の持ち込みはご遠慮ください」と張り紙あり。
客席が床だから?季節的にもペットボトル飲料(茶・水など糖分を含まないもの)くらい許してほしいけど、テイクアウトコーヒーを持ち込むような人もいるものね…。
今日はたぶん前方は1-3列あたりまで舞台に使って、サイドブロック(1-5,37-41)は布をかけてた。
7列目から段差がついていて、微妙に千鳥になっているせいか11列目はかなり見やすかった。
私の視力だと細かい表情はちょっと確認しにくい。
駅からの坂はまあまあえぐいので、早めに行って広めのロビーと併設の図書館(猿田彦コーヒーのカフェ有)で時間をつぶすほうがよさそう。
坂を上がっちゃうと、ご飯屋さんは他にないかも。

2024年7月27日(土) 19時、28日(日) 14時 / 18時
上演:1時間30分 (休憩なし)
会場:神奈川県立青少年センター 紅葉坂ホール
一般前売:4,500円

成 河   三原刑事
武谷公雄  鳥飼刑事
王下貴司  安田辰郎 
藤田桃子  お時同僚(八重)
崎山莉奈  お時同僚(とみ子)
大西彩瑛  お時
小野寺修二 佐山憲一

Plan
Favorite Fruits Miles Walked
Temper Level
Hidden Thought

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