PARCO劇場『桜の園』演出:ショーン・ホームズ
初チェーホフかつNO予習の身には、オーソドックスな演出で観たほうが良かったかもしれない。レベル上げしてからまた来ます…の気持ち。
ロシア文学×建設現場風セットが、ある馬に続いて今年2件目なんだけどwhy?(作業着や防護服演出に身構えがち
ってツイートしたら、役者さんにリツイートされて、ちょっと肝が冷えたわ。
過激なこと書かなくてよかった。
その役者さんが良かった!と書こうとしてやめたけど、書いておけばよかった(笑)※1
ともかく『桜の園』はちょっとトリッキーすぎて、私には全然楽しめなかった。
時代物めいたドレスに古めかしいお屋敷を想像していたので、作業着を着た建設作業員風の兄さんが出てきた時点でイヤーな予感がしたし、かなり現代的な衣装で時代に混乱したし、休憩を待たずに帰ろうかと本気で思った。
で、休憩明けのパーティーシーンがさらにわけわかんなかった…。
最後の30分くらい?領地を競り落とした実業家ロパーヒン(八嶋智人)が、トロフィーモフ(愛称ペーチャ。成河)と対峙するシーンあたりからは集中して観ることができたのだけど。
(ああそうか、この人たち本当に好き勝手言ってて、他人の言うことを聞いてないんだな…と書いていて納得した)
百姓から成り上がってついに領地を我がものとしたロパーヒンと、そうなるまで手をこまねいていた(ロパーヒンがあんなに尽力してくれたのに!)ラネフースカヤ。
ロパーヒン、成り上がりではあるけれど、桜の園を守ろうとしてくれるし、ラネフースカヤを我が妻にとか言い出すわけじゃないし(※2)、分かりやすい悪人成金じゃないんだよね。
※2 ラネフースカヤを我が妻にとか言い出すわけじゃないし
下剋上の定番としては言い出しそうなのに。
ラネフースカヤは年齢差があるからだとしても、娘ワーリャに結婚を申し込んでしまえば、ワーリャも憎からず思ってるし、義母になるラネフースカヤも喜んで万々歳。
それをあえてしないのは、ラネフースカヤ一家を思いやってのことなのか、むしろ一家をさらに堕としたいのか…。
一家と関係なく、自分に結婚に向いてない破綻者だという自認(ちょっとそんなことを独白するよね)によるものなのか。
その辺の複雑さを色々抱えているところが気になる…ので影の主役はロパーヒンかな。
ともかく、旧態依然のままの人と、適応していく人の対比がある中で、最後に取り残されたのは執事だけなんだよね…。
ラネフースカヤもまた、時代にそれなりに適合していく人だということなんだろか?
明大の講義に行っておけばよかったよーーー!!
(『桜の園』演出家ショーン・ホームズが明治大学にて特別講義を実施 成河&天野はなも登壇 https://news.livedoor.com/article/detail/24610002/)
とりあえずパンフと原作読みます。パンフは読み応えありそう!!
諸々
舞台を駆け回る八嶋智人さんはもちろん、天乃はなさんが良かったな~。
原田美枝子さんのセリフ回しがあまり好きになれなくて、ラネフースカヤが私の中には立ち上がってこなかった。
ロシア文学×建設現場風セットが『ある馬の物語』に続いて2件目。
今回は「新しく押し寄せてくる波」の比喩なのかなあ。
それを作業着で表そうとする傾向にはちょっと身構えてしまう。
すぐその辺を敵にするよね、あなたたち、というか。
役者メルマガから買う時の悩みなんだけど、3-4列目以内で見るにはパルコ劇場は横に広すぎる(笑)。
(でも遠けりゃ遠いで文句が出るのも分かるし、確かに近くでも観たいし、直接買ったほうが応援になりそうだしなあ…という)
※1
「面白くなかったら、黙っていればいい」という意見もSNSの影響力を考えると分かるけど、よくわからんものに1万円かけて博打してるんだから、ちょっと文句を言うくらい許されたい。
自分が不満がある時に他人の「つまらなかった」感想を見つけると、ちょっと安心したり溜飲が下がったりするので、自分でも書いておこう(相身互いの精神…)、みたいな心理もあるかもしれない。是非はともかく。