6/20夜 NODA・MAP『兎、波を走る』

[写真]『兎、波を走る』館内掲示ポスター

1985年8月の群馬上空や1995年3月の東京で起こったこと、そこに当事者がいたことを、物語化しすぎずに(←重要)突き付けるのがうまい…
2階最後列で観ると、客席が静まり返って役者の言葉に集中しているのが感じられて、これはこれで良き。「演者と私」ではなく「演者と私たち」
さすがに力技すぎない?とか、その分野への解像度どうなん?と思った部分もないではないんだけど(当日券に1時間並んで立見って時点で既に疲れてるのもある…)、
詞とそれを届ける高橋一生と松たか子の声が良すぎてわーわー!

久々の新作ってことになるのかな?面白かったです。

1985年8月の群馬上空や1995年3月の東京で起こったこと、そこに当事者がいたことを、物語化しすぎずに(←重要)突き付けるのがうまい…
物語化しすぎずに…
「なんか言葉遊びが続くな?」と思って観ていたのが、ある一瞬で、それらの比喩が意味していたことに気づくのが野田秀樹の好きなところなんだけど(『Q』『フェイクスピア』『ザ・キャラクター』あたりから…NODA・MAP初心者です)
兎~は、虚構その1と虚構その2がセロファンみたいに重なって色が変わった一瞬に、現実に起きた出来事が立ち上がる、ともいえるのかもしれない。
なので、最初から現実社会の話だと思ってみているのとは違っていて、フィクションをノンフィクションとして受け取っちゃうようなことや、物語の起から結まで筋を通して考えたり背負っちゃうことはない。
でも、急に喉元にナイフを突きつけられて「ああ、こんな事件があった」「そこで悲しい思いをした人がいたのだ」と、ふっと思い出して、帰り道で調べごとをしてしまう。
なんだろうなー。上手く言語化できない。
ファンタジーで虚構で浮遊した世界から、一点だけノンフィクションが急にやってくる塩梅が好き?
「忘れない」はフェイクスピアだったっけ?Q?その気持ちだけ持ち帰る感じ。

「演者と私」ではなく「演者と私たち」
最近のNODA・MAPは劇団先行で前方が来ることが多くて(『The BEE』なんて最前どセンター)、もちろん見応えがあったけど、他の観客の存在を意識するような位置じゃなかった。
それが今回は2階サブセンター最後列で真正面から演者を観ることはできなかったぶん、客席が息をのむような反応が見えた、ような気がした。
虚構の波間に現れたフィクションに気づいて、ふっと静まり返って役者の言葉に集中している空気というか。
知らんけど。
でも、なんか「みんなで見ている」という気持ちになったんだな~。
逆に、役者の演技に正面から飲み込まれはしなかったので、良し悪し。

さすがに力技すぎない?とか、その分野への解像度どうなん?
「初音アイ」はやりすぎでしょwww
機械音ボイスにキーボードを叩くさまとか、あれをお約束事として観られるか、陳腐なステレオタイプとして見るか。
アバターとかVRとか、実は誰も良くわかってなかったりして…
(AIはこれまでの「機械文明ステレオタイプ」の延長だと思うのよね)
アナグラムもちょっと難しすぎない!?と思ったけど、ああいうのはむしろAIが得意そうだし、野田さんがAIで作ってたら面白いな。

詞とそれを届ける高橋一生と松たか子の声が良すぎて
そもそもモノローグの詞が強いなあと思った。強いというか、詩的というか。
で、高橋一生氏の声って好きだなあと毎回思う。
上川隆也~高橋一生~神農直隆、声が好きなライン(敬称略)。

その他雑感。
多部ちゃんさんとお松さまって似てるよなあと思ってたら、親子役で納得した。
子供でもあり母でもあるアリスに多部さんはとてもはまってたと思う。
「USA GI」であれば38度線を越えられる(越えても亡命できる?米国軍人と韓国との関係性)というのが不勉強でよくわからなかった。
今回の人形劇っぽいセットは古臭い気がしてちょっと苦手。アリス自体が昔の流行と私は思ってるのかもしれない。
アリスがいつ帰ってきてもいいように、いつも玄関の明かりを付けている…みたいな細かいとこに、なぜかこの日はぐっと来てしまった。

◆当日券の覚書
開演18:30
販売開始17:30
到着17:45
購入18:40(29番)
到着時点で40-50人くらい?立ち見ですよと案内されて並んだ。
桜の森の時もそうだったけど、列の進みは遅い笑。窓口が1つで、1人1分くらい?
立ち見席しかない状態だったので、席は選べず(たぶん舞台中央寄りから下手上手を交互に振り分けてる)。
18時の時点で50-60人いたので、80枚くらいは当日券を出してた感じかな?
芸劇は当日券をたくさん出してくれるのでありがたい。
2階立ち見は、2階最後列で、手すりには近づかずに壁によりかかる形式。
床に番号が貼ってあるのだけど、座席と同じ間隔で割り振られると、立って見るには狭いと感じる(どうしてもふらふらしちゃうし)。
床が硬いせいもあって、なかなかハード!!でも見切れはないのでヨシ。

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