ミュージカル『Color』

[写真]『ミュージカル COLOR』会場内掲示ポスター

ぼく(成河)、母(濱田めぐみ)、その他の人々(浦井健治)
前過ぎない列のサイドブロックのセンター寄り通路席で。
キャスト以外まったく興味わかない系だ…と観に行って、本当にnot for meだった。
ハイパー歌唱力とピアノとハコのバランスにピントを合わせられず、音楽にも物語にも色を感じとれず。
濱めぐ様と浦井さんをこのサイズのとこで見られる贅沢な布陣なのに、開幕5分で逃げ出したくなったのは、音響との相性と体調のせいかな?
(私が分かる色なんて血の色くらいってことかもしれない。ハートフルに縁がない)。

実際に事故で記憶喪失(エピソード記憶だけでなく、意味記憶や手続き記憶も)を失った人の物語をベースにしたミュージカル。
一番苦手だったのは、原作(というかご本人)との距離の取りかた。
私はノンフィクションの再現ドラマを観に行っているわけではなくて、それをベースにしつつも「咀嚼・分解・再構築し、普遍性を持たせたミュージカル」を見たくて行っているので、原作者本人が「これは僕です!!」みたいなツイートをしているのがノイズでしかなかった。

確かに成河さんが公演後のメルマガで触れていたように、ご自分の経験をそうやって提供してくれるのは勇気のあることでもあるし、ありがたいことでもある。
(しかし、わざわざ話題にするってことは、なにかあったんだろうかと勘繰りたくなってしまったり)
『スリル・ミー』なんかは本人たちが死んでいるのをいいことに好き勝手創作して消費している(“歴史の中に埋もれてしまった記憶は、今や誰のもの?”)と批判があってもおかしくない。

でもさー、やっぱり
ミュージカルにおいて「原作通りのノンフィクションかどうか」なんてどうでもいいんですよね~!!
…って言いにくいじゃないですか。
ノンフィクションで実際にあった出来事やご本人を軽んじるつもりはない。
でも、創作(ミュージカル)との距離が近すぎて、創作して上演されたものへの不満すら言いにくくなったのは、ちょっといただけない点の1つだと思う。

で、内容に目を向ければ、「記憶を失ってとにかく大変」の描写が多くて、なんだか起承転結の最初の部分に力を割き過ぎて失速していたように思えた。
大変な状態から、急に染色を初めて講演会で語る未来に飛ぶんだもん…。
『Color』と題した割には、染色については言葉で語られるだけだったなあと。
とはいえ仮にそこがちゃんと展開されていても、好みの話ではなかったとおもう。
制作のチャレンジとしては意欲的な日本オリジナルのミュージカルだったとは思う。

後日、ピアノの方は演劇・ミュに参加するのが初めてだったと聞いた。その辺も関係あったのかなあ。

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