NODA MAP第24回公演『フェイクスピア』

野田秀樹の頭の中はどうなってるんだ…??

綺麗な言葉の花びらがたくさん降るな〜と眺めてたら、ある瞬間にそれが血や骨・肉塊に変わって、それらは最初から花びらなんかじゃなかったんだと気づいたのが『キル』(2020年にベルギー演劇祭?の配信で見た)。

今回も、シェイクスピア劇とイタコの口寄せの言葉の煙に巻かれてたら、それが黒煙だったと気づいた。
ああ、その箱はつまり。ああ、確かにその日でそのセリフ。そのセットの山肌はつまり。ああ、全てはそういう。

その世界の見え方が反転する瞬間の衝撃がものすごくて、それを味わうために行ったんだと思った。
あまりの鮮やかさに、劇場を出てもしばらくの間、呆然としてしまった。

だから、あまり物語の意味は考えてなくて、もうそれだけでいいもの見せてもらいましたわー!って感じでいいのかな。
やー!面白かったーーー!

以下はネタバレあり。

で、私はノー予習かつ日航機墜落事故に詳しくないので、「ボイスレコーダー」でやっと気がついたんだけど、わかる人は「8月12日」「36年」「頭を上げろ」で気づくだろうし、
逆にずっと分からないままの人もいるはず。
(ネタバレを踏んでしまった人はご愁傷様です)
その差がどのくらい受け止めかたに影響するんだろう。

「頭を上げろ」という言葉、
イタコのいる恐山という舞台、
白石加世子さんと橋爪功さんが子で、高橋一生さんと前田敦子さんが親という、役者の年齢的には逆転した構図、
とにかく「生きろ」というメッセージが強かった…強いと私には感じられた。
(というような話法でもって高橋一生さんがパンフのインタビューで語っていて、面倒くさそう!だけど信頼できる!好き!と思った)

や、やっぱり「何が言いたいの?」とかメッセージ性について考えなくていいのかもしれない。
映画や漫画に触れるときに、べつにメッセージ性を探し出そうとは思わないもんな。

以下雑感というか雑念。
高橋一生さんは昨年の『天保十二年のフェイクスピア』が初・高橋一生で、あとはTVドラマ『岸部露伴は動かない』くらいしか見たことがなかったので、席が近かったこともあって「わー、ほんものだ」とちょこっとテンションが上がった。
声がいいなあ。
上川隆也さんや神農直隆さん系の、落ち着いていて通る声?
そうそう、こういうセリフを読む上川さんを観たいんだよなあ…と思ったり(フェイクスピアに出てほしいということではなくて)。

前田敦子さんの棒読みっぽいセリフ回しが演出なのか、単に本人の技量なのかわからない。

白石加代子さんも橋爪功さんも、あのお年で新作をやるのって、本当にすごい。
そして野田秀樹氏も声は枯れ気味になりつつも、あれだけ喋ってラップやって動き回ってるの、本当にどうかしてる。元気でいてください。


  • タイトル:NODA MAP第24回公演『フェイクスピア』
  • 会場:東京芸術劇場プレイハウス
  • 会期:
  • web:https://www.nodamap.com/fakespeare/
  • 出演者:高橋一生、川平慈英、伊原剛志、前田敦子、村岡希美、白石加代子、野田秀樹、橋爪功
  • 鑑賞日:2021/6/25 夜
  • 書いた日:2021/6/26-2021/7/4

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