祭りのお囃子を聞くと思い出す記憶、あれは蒸し暑い嫌な夏でしたね…と重い口を開いて語るような舞台だった。
殺しの場面の陰惨さと、その後の団七宅での空々しい会話の緊張感に、思わず手を握り締めてた。
名月八幡祭や伊勢音頭といい、お囃子をBGMに殺しを見せるって、様式美にしてもちょっと屈折したものを感じるし
後半は照明が暗めで、特に蠟燭の灯だけで殺しを見せる(*1)あたりは、コクーンの狭さと相まって「芝居小屋で観てる」という感覚になった。
(歌舞伎座は明るすぎるし広すぎる…おかげで私のような下々の者も安く見られてるわけだけど)
こういう道徳も何もあったもんじゃないのが、伝統芸能として都内で商業ベースで興行されているって面白い。
*1:蠟燭の灯だけで殺しを見せる
舞台縁8本くらいと、黒衣が4人くらい長い柄のついた燭台を持って役者の周りをうろうろする。
「見えない」ことになっている黒衣って便利システム。
以下雑感
徳兵衛女房お辰のセリフが有名とのことだったし見せ場も多かったので、松也さんが徳兵衛との2役だったのが意外だった。
(女形を見たのは初めてかも…?)
けど、徳兵衛がお梶に関係を迫る(ふりをする)松七NTRが妙に生々しくて大変良かった…。
「開演10分前には席に着いたほうがいい」とTwitterで見かけたので、早めin
5分くらい前から役者さんが舞台をうろうろし始め、広場に集まって神主がお祓いをするシーンから始まった。
祈りをささげて「本日の歌舞伎上演おめでとうございます」みたいなことを言う神主(笑)。
座席は2人並びの1席空けで、全席椅子あり。
花道は舞台に一番近い客席扉までの短さ。
花道を意識して右袖を取ったけど、三婦の船も殺しのシーンもほぼ上手なので、下手袖…いや正面を取るべきだった。
カーテンコールでは「このコロナ、いつかは晴れます」と勘九郎さんのごあいさつの後に、大阪締めで幕。
収録日だった模様。WOWOWでやるかな?
上演時間は休憩なしで2時間15分。
- タイトル:渋谷・コクーン歌舞伎 第十七弾『夏祭浪花鑑』
- 会場:シアターコクーン
- 会期:2021/5/6-5/30
- web:https://www.bunkamura.co.jp/cocoon/lineup/21_kabuki/
- 出演者:中村勘九郎,中村七之助,尾上松也,笹野高史,片岡亀蔵
- 鑑賞日:2021/05/28
- 書いた日:2021/06/04