月岡芳年と岸田劉生と碍子が展示してある企画展すばらしい。
ガイシだよ!?(しかも個人蔵がある)
電柱・電線って、思ってるより昔からある。
そもそも「思う」というほど意識していないかもしれないけど、銀座線は1927年(昭和2年)開業だし、電信回線の敷設は1869年(明治2年)。明治!?みたいな。
北斎の赤富士に電柱をコラージュした「無電柱化民間プロジェクト」
https://www.huffingtonpost.jp/2014/07/13/mudenchuka-project_n_5581680.html
への対抗なのか便乗なのか分からないけど、ちゃんと自館所蔵・寄託の絵も紛れ込ませていて、すごく良い企画だった。
解説などによれば
・電信と電気、先に始まったのは電信
・郵便制度と電信は同じ頃に開始されたので、錦絵などにセットになって描かれていることが多い
・電気事業の開始はそこから30年ほど遅れており、とりたてて錦絵(流行を反映?)に描かれたりするほどではなかった。
・東京にも発電所がいくつかあり、その中の第五?が離れてたのは”吉原の電化”絡み(うろ覚え)
…ということらしい。へー!!
ということで、月岡芳年の絵にも、天狗の郵便配達夫と電線が同時に描かれている(芳年略画 『頼政/天狗の世界』1882年。個人蔵)。
小林清親は電柱(電信柱)を描いた絵をたくさん残しているし、河鍋暁斎と山岡鉄舟の合筆『電信柱』などにもあるように、日本画家×電柱の絵は結構あるらしい。
これ、「電柱に電線ねえ…あの絵やこの絵に描いてあるな」みたいに学芸員さんの知識が動員された結果なんだろうか。だとしたら凄い。
それらしい画題ばかりではなくて、別のところに主眼のある絵も引っ張り出してきているわけで。
電気の資料館、郵政博物館なんかはわかるけど、浅井コレクション?高知市??
高知市が持ってる高知市出身画家(山脇信徳)の絵、
山形県が持ってる『山形市街図』(高橋由一)、
高田馬場や板橋の何の変哲もない風景(一時期、画家のアトリエが板橋‐練馬あたりにやたらとあったらしい)。
大して有名でもない人が描いた地元の絵なんて価値あるの?と思ってたけど、郷土史でもあるんだな。
展覧会タイトルにもなっている小林清親の絵はほとんどが練馬区美術館寄託。
こんなに展覧会目録の所蔵欄が気になってチェックしたのは初めてかもしれない。
(程よく偏っているというか…テーマとの関連が分かりやすいなあと)
山口晃さんの絵は、『趣都』の「電柱でござる!」の原画と『演説電柱』のみ。
数年前に水戸芸術館での個展を観ているので、この点は物足りなかった。
■気になった絵
・木村荘八『明治時代大火 消防がまとひを持って屋根へ上がった』
作者は1893年(明治26年)生まれ。
町火消は明治になって廃止されたらしいので、どんな文脈かよくわからないけど、電線と火消と纏が一画面に収まっているスケッチ。
・伊藤深水『夜の池之端』
角付けか何か?軒先で三味線を弾く人影と電柱。
・藤牧義夫『隅田川両岸絵巻』(『隅田川絵巻』とは別物?分からない)
本当に絵巻物…ただ筆でへにょへにょーっと川岸にある襤褸家や何かが描かれている。
360度カメラの画像に近い感じ。なんかかわいい。
なお失踪したらしい。