和歌メモ

かなり昔に気に入ったのを紙にメモしておいたものがあったので転記。
春の歌・恋の歌をざっとチェックしたんだろうけど、ピックアップの基準がもはや分からない。
大伴旅人の酒の歌は良い。


石(いわ)走る 垂水の上のさわらびの 萌え出づる春になりにけるかも (志貴皇子/万葉集・巻八)

世の中を憂しと恥(やさ)しと思へども 飛び立ち加かねつ 鳥にしあれば (山上憶良/万葉集・巻八)

験(しるし)なきものを思はずは 一杯(ひとつき)の濁れる酒を飲むべくあるらし (大伴旅人/万葉集・巻八)
※役に立たないもの思いをするくらいなら、一杯の酒を飲むべきだろう

恋ひ恋ひて 逢へる時だに愛(うつく)しき 言尽くしてよ長くと思はば (大伴坂上郎女/万葉集・巻四)
※時だに=時くらい

夢の逢ひは苦しかりけり覚(おどろ)きて かき探れども 手にも触れねば (大伴家持/万葉集・巻四)

春の苑(その) 紅にほふ桃の花 下照る道に出で立つ乙女 (大伴家持/万葉集・巻十九)

み吉野の花のさかりをけふ見れば こしのしらねに春風ぞ吹く (藤原野俊成/千載集・巻一春上)
※こしのしらね=越路の白雪

いづくにて風をも世をもうらみまし 吉野の奥も花は散りけり (藤原定家/千載集・巻十七雑歌中)

たゝかひに果てにし子ゆゑ、身に沁みて ことしの桜 あはれ 散りゆく (釈チョウ空=折口信夫/倭をぐな)

花を照らし月又花にくもる哉 (三浦樗良/樗良発句集)

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