かきかけ。
物語について
やっばり翻訳劇って難しくないですか(理解が難しいというより、それを日本版にすることが)。
クリストファーの置かれた状況(黒人/身寄りが無い/おそらく統合失調症)、とくに人種的なものは日本にいると実感しにくいと思うんだよ。
(もちろん差別問題は人種や民族含め、私が認識しているものもそうでないものもあるけど)
その結果、もともと心理学方面に興味を持っていることもあり、そちらのほうに着目して見ることになった(差別云々はあまり意識しなかった)。
見ててつらかった…というか、「そこなんだよなあ」と思ったのは、ブルースがいくら言葉を重ねても、クリストファーには伝わらないであろうこと。
最終的にぶちまけてしまう差別意識が、ブルースのガチの本心か、ふと心の片隅をよぎったものかは分からないし
それが必ずしも見え透いていたわけでもないと思うんだけど、クリストファーには伝わらない。
カウンセラーとちょっと関わったくらいで解決するような過去や状況じゃないよね。
もう最初から「これ、問題が解決してクリストファーが部屋を出て行くことはないだろう」と思えて…3人ともあれだけ膨大なセリフがあるのに!!
でもさー、クリストファーのほうが、寛容にも見えるじゃない。
泣いてるブルースの肩を抱いて慰めてくれたりもして。
なにが健常あるいは正常なのかって話でもあるじゃない。
ロバートの「自国中心主義に陥っていないか」は、彼があのシーンで言うと詭弁だけど、社会や時代が変われば物差しも変わる、その程度の物差しと言うことに我々(大きく出た)は自覚的であるべきだし、
持って生まれた属性によって社会での扱われ方が変わるのなら、それは長じて抱える問題の傾向にも関係してくるよね。
(もちろんそれがスティグマになってはならない。生まれたあとの社会の取り扱いに起因するものであって、先天的なものではないから)
ブルース、あなた分かってる?
もちろん現代文明に生きていたらクリストファーは間違いなく不適応を抱える人なんだけど…。
統合失調症というあからさまな不適合を抱える人、一般的信頼を持てない人、ほどほどに生きていけない人たち(私もそこに加わる/加わっているのかも)と、どうやったら上手く折り合いをつけて社会生活を送れるんだろうなあ…。
…とか考えたんだけど、これって芝居を見てきた感想なんだろうか?
単に普段考えてることがまたふつふつと上がってきただけじゃない?
(心理方面の話としては特に目新しいと感じることは無かった)
成河さんも千葉さんも大好きだし、章平さんのクリストファーもめちゃめちゃ良くて贅沢で濃密な時間だったんだけど、リアル寄りだから物語としては消費/消化しがたい。
疑問
ロバートはどの時点でクリストファーが本当は退院させるべきではないヤバい奴だと気づいたんだろう?
オレンジをブルーと言ったところで気づいたものの、それでも退院させるべく夜にクリストファーと話をして、そこで自分の立場がまずくなりそうだったから諸々の責任をブルースに押しつけるべく動いた…だと思うんだけど、それだとあの言い合いの最中で壁と向き合って打ちひしがれる意味が分からない。
最終日の朝のロバートは、意外と余裕がないように見える。
- タイトル:BLUE/ORANGE
- 会場:DDD青山クロスシアター
- 会期:
- web:https://www.stagegate.jp/stagegate/performance/2019/blue_orange/
- 出演者:成河,千葉哲也,章平
- 鑑賞日:2019/04/07
- 書いた日: